食会史2015年


2015年7月26日(日) まるネコ堂(京都府宇治市)

予算:1,200円

購入場所:リカーマウンテン黄檗店、ハッピーテラダ黄檗店


■ぱーちゃん

ラドラー(ビール)

コロナ瓶(ビール)

イカ一夜干し

塩さんま

カット西瓜


■澪

地なす

あゆ(1匹)

洗いもずく

グレープフルーツ

とんこつラーメン(カップ)

京都ゴマ豆腐

アサヒスーパードライ500ml


■さがちゃん

玄米でつくったライスミルク

焼きココナッツ

超ひもQグミ

汲み上げ湯葉

あゆ(4匹)


■大谷

チューハイレモン

若いか

洗いもずく110g

うなぎ肝蒲焼

さば寿司


■評

七輪で炭を熾して、焼きなす(澪)、鮎(さがちゃん、澪)、イカ一夜干し(ぱーちゃん)、さんま蒲焼(ぱーちゃん)を焼くが、ことごとくうまい。さがちゃんと澪は全く同じ鮎を買う。さがちゃんは4匹、澪は1匹。これまでの食会の常識では、自分の分だけを買うという澪のスタイルが良いとされてきたが、今回は一人一匹のさがちゃんスタイルに軍配があがる。それぐらい美味しかった。またぱーちゃんのうなぎの蒲焼きが食べたかったが予算オーバーだったのでさんま2匹を買ってきてそれをさばいて、蒲焼きのタレも自作してさんま蒲焼を焼くというのは、食会史上まれに見る手の込んだ逸品となった。仕上がりもよく、うまい。このような挑戦は食会以外では起こりにくいことである。個人的には若いかの煮付けが簡単でうまくできたのは嬉しかった。こういう成功体験が定番の日常的メニューを生み出す。(記録:大谷)

2015年8月15日(土) 鴨川・御池大橋付近の河原(京都府京都市)

予算:1800円

購入場所:酒のやまや御池高瀬川店、フレスコ川端店

 

■鈴木

うな重

白ワイン 750ml

チキンサンバル(缶詰)

ドライフルーツ パイナップル

ドライフルーツ かぼちゃの種


■鈴木の友人・S

サッポロ黒ラベル 500ml

京都地ビール

菊之露 200ml(カップ古酒)

いか天瀬戸内れもん味

食パン(6枚切)

手羽トロ唐揚げ

昔のコロッケ(3個入)

牛蒡サラダ


開催の経緯

この日、鈴木は高校時代の友人・Sと久々に再会した。東京から久々に帰省したSは京都の雰囲気を堪能したいらしく「鴨川で酒が飲みたい」という。昼間は暑いので夕方まで待つことにし、まずは餃子屋に入ってビールを飲む。店を出て、鈴木と友人の大谷、山根、高向が共同で借りている「東山の和室」と呼んでいる場所で昼寝し、銭湯に寄って汗を流すとお腹が空いている。ここで鈴木が食会の開催を提案、Sもこの提案に興味を示し、鴨川での食会開催が決定する。


食会史上初の野外開催となり、調理器具が一切使えない環境で食べ物をどう調達するかが個人的には勝負どころだという気がした。そんな中で際立っていたのはSが繰り出した食パン、コロッケ、唐揚げ、牛蒡サラダでサンドイッチをつくるという手。個人的には、うな重のたれや缶詰のチリソースをコロッケサンドにつけるというアイデアを思いつき、これが美味かったのが嬉しかった。今回は、これまで一度も食会について話したことのない人とその場で開催を決めた「即興食会」とも言える状況で、「この面白さを共有できるだろうか」という類の不安もあったのだけれど、今回もやはりこの上なく楽しめた。「自分の食べたいものだけを差し出し合う」というシンプルな方法が持っている普遍性を確認できたような気がして嬉しい。Sは最後に、「アングラな京都の楽しみ方ができてよかった」と言い残して帰っていった。(記録:鈴木)

2015年9月14日(月) まるネコ堂(京都府宇治市)

【残暑の持ち寄り食会 まるネコ堂】

集合時刻:17:00

集合場所:まるネコ堂

設定金額:1200円

■澪

ガッシュトルテ

宇治抹茶ショートケーキ

鶏胸肉

スーパードライ大瓶

 

■ぱーちゃん

肉まん

ギルビージン375ml

ウイルキンソン炭酸水500ml

オレンジジュース1l

鯖寿司

 

■大谷

ホワイトマシュマロ

えびすかぼちゃ半分

マッシュルーム

牛乳1l

ぶどう2房(ベリーA)

田舎豆腐

 

■うみちゃん

上撰辛口300ml

アヒージョ イカゲソガーリック

ほたて貝ひも醤油味

芋けんぴ

ジョナゴールド(りんご)1個

田舎豆腐

バターロール4個

 

■けんちゃん

ホルモン 上レバー100g

ミックスホルモン

ホルモン ホソ50g

ホーランド・インポート(ビール)330ml

アサヒ オフ500ml

 

■評

前回までとの大きな違いとして、ここ数回にわたって問われ続けた厳しい勝負感をほとんど感じさせなかったことがある。前菜、メイン、副菜、飲み物、フルーツ、デザートといったすべての段階でそれぞれの品が、まさにここでこれをという絶妙な出現をする。勝負に拘る感じが若さだとすれば、「大人の食会」とも呼べる成熟性が現れた。要因として考えられるのは、買い物後の集合時間だけが決められており、それまでに約半日のゆったりした時間の中で考えることができたことがあるだろうが、参加者の性質によるものなのかもしれない。今後の方向性に一つの可能性を示した。また、今回、マッシュルームを買った大谷が「だれかうまく調理してくれるかもしれない」と提示したものを澪がバター炒めにする一幕もあり、だれもいなければ自分でオリーブオイルで炒めたという意志を持ちつつも、拾う他者を意識した場への投げ出しという新しさも見られた。(記録:大谷)

【事前告知文】

■購入に関して

必ず持ち寄るものを購入してお越しください。

今回は、集まってから購入に行くのではなく

買う場所に縛りを設けずどこで買ってきてもよい、

という形式にします。

1200円分購入してまるネコ堂にお越しください。

持ってくるときは、買った持ち寄り物が見えないようにして

お持ち下さい。

全員集合してから順番に1つづつ披露していきます。

ちなみに、まるネコ堂の最寄りスーパーなどはこちら。

フレスコ木幡店

ハッピー寺田黄檗店

リカーマウンテン黄檗店

 

■レシート

買ったものを確認したいので、できるだけレシートを持ってきてください。

 

■会場まるネコ堂に関して

調理器具・調味料が使えます。

鍋・中華鍋の他に七輪・ダッチオーブンなどの珍しい調理器具もあります。

2015年9月21日(月) 東山の和室(京都府京都市)

東京より来訪のさとし、じゅんちゃんを交え、小林健司、小林直子、大谷隆で実施した。

 

■さとし

フレスコ塩鮭たっぷりおにぎり(3個)

ネギトロ鮮味ねぎとろ

京都九条ねぎ(刻みネギ)

たまご(4個入り)

 

■じゅんちゃん

昔のコロッケ

森の香りウインナー(2袋セット)

綾鷹(お茶、2L)

たまご(4個入り)

マフィン

塩ソフトせんべい

 

■小林直子

巻き寿司

三種のキムチ

黒糖梅酒(300ml)

昔ながらの中華そば

羽根つき餃子

 

■小林健司

国産牛ステーキ(モモ)

女子美酒部ゆず

 

■大谷隆

牡蠣(加熱用)

カゴメトマトジュース

白鹿カップ酒

レトルトおでん一人前

すっぱムーチョ


■評

 前回(9月14日まるネコ堂)では、それまでの勝負感が薄れ「大人の食会」とも呼べる成熟性の萌芽が見られたが、一転、再び勝負感が強く出た会となった。何より初参加となるさとしのおにぎり3個、ねぎとろ2パックを主軸に据えた自作ネギトロ丼が他を圧倒した。「大きめのおにぎり、しかも全く同じ具のを3個も?」という周囲の驚きと戸惑いは、さとしの「ネギトロ丼大好き」という一点から表出される迷いなき突破力と構成力が生み出した一品によって、遥かに後景へと退き、絶妙の量感、バランス、彩りを持ったネギトロ丼の出現に、誰もが丼が回ってくるのを心待ちにした。この「自分が好きなものは有り余るほどあってほしい」という感覚は、じゅんちゃんのウインナー2袋、お茶2リットル(いずれも好評を持って完食)にも現れており、自分が買ったものが綺麗になくなってほしいから一人分だけ買うという小心者的心持ちへの大きな打撃として食会史に刻まれた。

 開催後「あれ(ネギトロ丼)以来、さとしのことがよくわかるようになった気がする」という小林直子の発言から、「食会にはその人のすべてが現れる」という小林健司による再三の指摘は、ここでも証明された。

 調理器具が十分ではない会場にしては、調理前提手が多く、フライパン待ちの時間帯があったが、それが逆に加速しがちな食会の進行を穏やかにする効果もあり、その待ち時間、小林直子の巻き寿司、キムチの調理不要手二手も、空腹時の好手として光った。

 小林健司の高級ステーキ肉、大谷隆の牡蠣といった大物勝負手は、いずれもさとしのネギトロ丼に霞むこととなったが、素材の底力によって終盤盛り返し、存在感をかろうじて保った。

 

 これまで関西在住者以外での参加は、さがちゃん(福島県喜多方市)、ぱーちゃんの友人S(東京、ただし出身は関西か)があるが、今回も東京より二人を迎えての開催となった。持ち寄り食会が関西的お笑いノリというローカル性にとどまるのか、地域的普遍性を獲得するのか、そのあたりも再び焦点となったが、さとし、じゅんちゃんの食会への姿勢より他地域への進出の可能性が、さがちゃんの場合と同様、今回も示された。

(評者:大谷)

2015年10月24日(土) 網焼き食会 in まるネコ堂(京都府宇治市)

集合場所・会場:まるネコ堂

集合時刻:17時

設定金額:1,500円

■なっちゃん

花街麦酒

松茸

 

■けんちゃん

上レバー 1,200円分

金麦 500ml

冬の薫り 350ml

 

■たなかそう

玉川 自然仕込純米酒(山廃)無濾過生原酒

 

■うみちゃん

白鷹 特別純米 宮水

福屋のおつまみ 焼きアゴ

 

■澪

ハマグリ

生牡蠣

キムチ

チャプチェ

サザエ 3個

飲むヨーグルト

 

■ぱーちゃん

ホタテ 4個

赤えび 1匹

発泡酒 350ml


■大谷

上レバー(ホルモン) 200g

ホソ(ホルモン) 200g

コチュジャン

 

■評

 本会は、たなかそう氏(大阪市)の発案で、テーマ設定された初の食会となった。網焼きというテーマは制限となるか自由となるか、大いなる挑戦と言えよう。もっとも、たなかそう氏の真意は、網焼きという固有の調理方法やテーマ設定そのものにあるわけではなく、食会における勝負の復活にあるとみられる。最近の勝負を感じさせない「大人の食会」は堕落ではないか、という鋭い警告と言っても過言ではない。

 

 結果は品目を見ることで端的に現れている。1500円という最近の流れではやや高額に属するにもかかわらず、従来の食会と比べ各者の品目の少なさ、単品の高額さが際立っている。発案者たなかそう氏の「玉川 自然仕込純米酒(山廃)無濾過生原酒」一品のみという手を筆頭に、なっちゃんの「松茸」、うみちゃんの「白鷹 特別純米 宮水」、澪の「さざえ」、ぱーちゃんの「ホタテ」「赤エビ」など高級酒・食材が並んだ。調理法の制限によって、どうせなら普段買わないようなものを、という思考がより強く働き、一品への強い意志が伺える。この意味において、勝負は復権したが、その形は他者との勝敗というよりも、自らとの勝負という内面への方向により強く働き、食会が見せる「自らの外と内の往復」の一つとして、さらにその振幅を広げることとなった。

 

 さらに一点、特筆すべき事として、けんちゃんの「上レバー 1,200円分」は予算の4/5を投じる大きな手であることにとどまらず、近年珍しくなった量り売りという仕組みの原理を突き、値段指定という手段を講じたことにも着目したい。同店舗で同品目を購入した大谷の「上レバー(ホルモン) 200g」があくまで「100グラムいくら」という店頭表示への従属の域を出ない凡庸なグラム買いであることも、それを引き立てる結果となった。(大谷)

 

【事前告知文】

■購入に関して

必ず持ち寄るものを購入してお越しください。

今回は「網焼き食会」です。

七輪に炭火を熾して焼きます。

「網焼きといえばこれでしょ!」というものであれば、物理的に網で焼かないものでもOKです。もちろん、飲み物、デザート類などもOKです。

まるネコ堂にある調味料などは自由に使えます。一応関連しそうなものを上げておきます。

【備えてあるもの】塩、胡椒、ごま油、オリーブオイル、醤油、味噌、味醂

その他のものはお問い合わせください。

なお、市販の「焼肉のタレ」類はありませんのでタレが必要な場合は、1,500円の予算内で調達してください。